2018年の新政頒布会感想!
6月の頒布会は、720mlの2本セット。
『素晴らしき純米酒の世界』をテーマの第三回目…今回に用意されたのは、
- ほぼ全麹純米酒
- 貴醸純米酒
の2本。
『貴醸純米酒』というのは想像できる部分もありますが、『ほぼ全麹純米酒』のインパクトたるや。
とはいえ、どちらも「どのようにして造られたのか」というのが感じられる名付け。
新政頒布会としては最後の、6月。
さっそく感想をお届けします。
ほぼ全麹純米酒|六月ノ頒布 其ノ一
『ほぼ全麹純米酒』
全麹!?!?…….え、ほぼ!?!?なんて一人でツッコミをしておりました。
ここで指す『麹』とは何かといいますと、日本酒造りの際に使用する麹で、おおよそ20%程度使われています。
江戸時代には50%程ということでしたが、現代では麹造りの技術が上がったことに伴い、だんだんと割合が少なくなってきたとのこと。
しかし、新政酒造では日本酒の味わいの根幹をなすと考えているため、通常の製品でも22%~35%と多めの比率に……その理念を発展させたものが『ほぼ全麹純米酒』といいます。
お猪口に注ぎ、味わいを楽しみます。
一口いれると、酸味が広がりました。
舌で転がせば隅々まで酸味を感じられ、また鼻もスッと通っていきます。
しかし、鋭い酸味ではなく柔らかな味わいもあり、後を追ってきた甘みがなかなか喉越し後残ります。
ちなみに「ほぼ」全麹純米酒というのは、酒税法上全部が麹では日本酒とならず、酒母工程でのみ蒸米を1%使用していることによるためです。
貴醸純米酒|六月ノ頒布 其ノ二
『貴醸純米酒』
貴醸酒というのもなかなか広まってきたではないかと思います。
貴醸酒の造り方は、酒を仕込む時に既存の酒を醸すことでできます。しかし、明確な製法の定義は酒税法上明確な定義はなく、特定名称は名乗れず「普通酒」扱いになるとのこと。
そのような背景から「貴醸酒の味わいでありつつも、純米酒の定義であるものは造れないか」という発想のもとできたのが、この『貴醸純米酒』。
実現のためには、搾っていないもろみの状態でお酒に加えることで、貴醸酒×純米酒にトライ。言葉だけでは簡単ですがかなり複雑で、今回の頒布会でも手の込んだものになったといいます。
ワイングラスで戴いてみました。
ファーストアタックは非常にやわらかく、優しい舌触り。
まずは酸味が感じられますが、旨味…..なんだかさまざまな要素の絡み合いを感じることができます。
最後は若干の苦みを感じられ、また舌には味わいが残るので戴いている感じが続きます。
本作は頒布会であるため試験的な内容ではありますが、出来栄えも蔵元も満足ということで提供している貴醸酒『見えざるピンクのユニコーン』でも、同製法を活用するとのことです。
攻めの製法が、まさしくより魅力的な日本酒造りへ転化されていく様子を感じられます。
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今回は、新政頒布会2018年6月分の感想をお届けしまして、2018年度新政頒布会の感想は終了となります。
試験的、かつ素晴らしい味わい世界観を感じられる新政頒布会。
今後も蔵の進化を期待せずにはいられません。