今回は日本酒の香りを決める要素のひとつである「吟醸香」について解説していきます。
一般的な日本酒の香りと比べると、華やかでフルーティーな香り、強い甘み、一般的に飲みやすい日本酒といわれるのが特徴です。
本記事では、吟醸香の種類や特徴解説します。
吟醸香の特徴
吟醸香とは、日本酒を造る工程で酵母が生み出す香りのことです。
吟醸香とは1種類ではなく、日本酒の銘柄・原料・工程によって違いがあり、甘くふくよかな香り、フルーティーな香りだったりと、さまざまな香りの違いがあります。
これは、日本酒を作る過程で使用する酵母の種類の違いによって決まります。
吟醸香ができる理由
吟醸香が生まれる要因は数多くあります。
ここでは2つの大きな要因である「アルコールを発酵する際に使用する酵母」と「日本酒の精米歩合」を開設します。
吟醸香が生まれる過程
日本酒を造る過程の一つに、酒米に含まれる糖分を酵母が分解しアルコールが生成されます。
アルコール発酵が行われる際に、酵母は様々な成分を生みだし、代表例として挙げられるのが「カプロン酸エチル」「酢酸イソアミル」といった成分です。
この成分こそが吟醸香の元になる要素です。
精米歩合による影響
「精米歩合」とは、玄米の重さを100とした場合、玄米を削り残った白米の重さの割合をパーセンテージで示したものです。
たとえば、精米歩合が70%の場合、玄米を外側から30%削り取った白米のことです。
この精米歩合がの数値が小さくなるほど、玄米の外側と脂質が取り除かれ、吟醸香が強く、香り高い日本酒になりやすいといわれます。
この工程は、「米を磨く」と表現さえることが多いです。
吟醸香の種類(どのような香りか)
吟醸香は、その香りの特徴から「サッパリとしたフルーティーな香り」と「甘く、口の中に長時間残るふくよかな香り」の2種類に分類されます。
こうした違いが生まれる原因は、アルコールを発酵する過程で生成される成分によって変わります。
カプロン酸エチルの特徴
「カプロン酸エチル」の香りの特徴は「梨・林檎・パイナップルのような柑橘系のフルーツを思わせるような、甘酸っぱく、みずみずしい香り」です。
酵母に含まれる脂肪酸合成とアルコールの発酵が関連して生成される香り成分が「カプロン酸エチル」です。
近年では、こうしたフルーティーな香りを作り出す酵母を使い、主に大吟醸などでよく使われ、華やかな吟醸香を楽しむことができます。
酢酸イソアミルや関連する成分の特徴
酢酸イソアミルの特徴は「メロンやバナナなどのような甘味があり、優しくコクのある香り」が特徴です。
米のタンパク質から生まれるアミノ酸の酵母による代謝を起点として生まれる香成分が「酢酸イソアミル」です。
日本酒の原料である酒造適合米を磨いていくにつれて、米の表面にある酢酸イソアミルの成分を抑制する脂肪酸が減少するため、甘味が強く香りの高い日本酒が醸造されます。
甘味が強く、口当たりが良いことから日本酒初心者でも飲みやすいといえます。
まとめ
今回の記事では、吟醸香の特徴や、吟醸香の香りの元になる酵母である「カプロン酸エチル」と「酢酸イソアミル」について解説しました。
フルーティーな香りの吟醸酒や、コクと甘味のある大吟醸などの香りの高い日本酒は、日本酒初心者でも飲みやすく人気です。
酒蔵の特徴や、製造方法・精米歩合によって、味が様々に変化するのが日本酒の楽しみのひとつ。
ぜひ吟醸香の高い日本酒を飲み比べて、お気に入りの味わいを探してみてはいかがでしょうか。